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2008年3月 5日 (水)

[Web] newsing について

● newsing とは

 URL:http://newsing.jp/

 

株式会社マイネット・ジャパンが運営する「ユーザー参加型ニュースサイト」
 このサービスにおける「ニュース」とは、運営主体が取材ないし記事を購入した情報ではなく、ユーザがインターネット上に掲載されている各種記事のURLを投稿したものとなっているのが最大の特徴。この投稿されたニュースに対してコメントや○×の評価をつける機能を備えている。記事の閲覧は会員登録なしでも行えるが、記事の投稿、コメントの記述、○×評価付けは、会員でないと行えない。
 投稿された記事は、閲覧数、コメント数(○×評価数)、コメントに対する評価数によってランキングされる。○×評価の基準が、投稿行為に対する是非なのか、記事の内容に対する賛成・反対なのかあえて明確にされていないことからもランキングは、「注目度」を基準にしている点も特徴。
 サイト自体の収入は広告収入となっており、一般的なアフィリエイトとPRnewsingと呼ばれる広告記事掲載から成り立っている。ただし、マイネット・ジャパンとしては、newsing をシステムのβバージョンすなわち、フラグシップサイトとして位置づけ、システムそのものの販売やコンテンツも含めたOEM事業を行っている(2008年3月現在「イントラnewsing」「newsing2b」の2サービス)。
 この種のニュースサイトで問題になりがちな著作権問題についても、現状を見る限り、掲載されている文章自体は記事が掲載されている元サイトへの誘導を行うための引用の範囲内と主張できそうなこと、トップページではユーザが記述した「要約・意見」を優先して表示していることなど、慎重に作られてる。ただし、元記事に掲載されている画像がどうやら newsing 本体のサーバに複製されているなど、見える範囲ではグレーな部分があり、newsing の利用が拡大し、一般的な認知が進むのと比例して、訴訟リスクも高まるのではないかと思われる。

● newsing についての個人的な感想
 ビジネスとして考えた場合、newsing は技術系企業として実に正道を歩んでいるように見えます。

「ニュースサイトを立ち上げよう!」→自前で記事を書く or 新聞社から記事を購入する or ニュース系サイトをクロールする

という発想をせずに、

利用者自身にニュースを投稿させる

としたこと、同時に「Oh My News」 のようにユーザに「記事を書かせる」のではなく、サイトの記事URLを投稿させるとしたことは、参加の垣根を低くしつつ(量の確保)、一定レベルの文章力、取材力を維持し(質の確保)、かつコンテンツ制作費を最小限にとどめる(コストの低減)ことに成功している数少ない例だと思います。
 加えて、先にも述べたように、マイネット・ジャパン本体にとっては、「記事投稿→評価→ランキング」といった一連のシステムを無償でベータテストしてくれるユーザを獲得し、テストを重ねた上で成果を反映した製品システムの販売につなげる戦略は、技術主体の会社であれば、誰もが一度は夢見ることではないでしょうか(2008年3月現在、みずほ情報総研株式会社ファクタ出版株式会社が導入)。

 しかしながら一方で、ユーザ視点として、newsing は魅力的なサービスと言えるのか、言い換えれば、newsing 単独として考えた場合にユーザとしての利用価値=商業価値があるのかについて疑問に感じる点があります。
 コンセプトである「ユーザー参加型ニュースサイト」は、一見すると非の打ち所がないように思えます。しかし、ここで言う「ユーザ」は、すでに一定のバイアスがかかっていると言わざるを得ません。すなわち、少なくとも2008年3月時点では、このユーザの多くは、「コンピュータリテラシーと同時にネットワークリテラシーを有している人」と置き換えても良く、newsing に取り上げられるニュースは、この属性の人が興味を持ちそうな情報に偏重しがちな傾向があることは否めません。具体的には、PC、インターネットを主軸として、その周辺分野のニュースが投稿され、かつ、評価される(すなわちランキングの上位にくる)ことになりがちです。たとえば、2008年2月19日の Daily newsing のトップは

「動画 なだぎ武R-1ぐらんぷり優勝ネタ」

とであり、以下、
「同級生少女(16)の全裸画像を掲示板に張り付け→高1男子ら4人逮捕。画像が出回り、少女は自主退学」
「オトコのための混浴温泉マナー」
「4月1日以降のモバイルSuica、年会費が必要に」
「新垣結衣の身長が伸〜び過ぎて騒ぎになっている 」

が上位5位となっています(http://newsing.jp/daily/20080219)。すなわち、社会・芸能、ITビジネスに属するニュースが newsing では、トップ記事となる傾向にあるわけで、冷たい言い方をすればゴシップネタになりがちなのが、newsing というサイトの現状です。ちなみに、2月19日は、例のイージス艦衝突事件があった日です。
 つまり、情報収集先のサイトとして、唐沢俊一的なこっそり埋もれた三面記事トリビアを探すにはもってこいと言えますが、「日本の”今”はここにあります」と言われると、表面的には首をかしげざるを得ません。揶揄して言えば、マーケティング的であったり、民度を計るという意味では「日本の”今”はここ」なのかもしれませんが……。
 皮肉はともかくとして、ニュースサイトとしての newsing の今の弱点は、2008年2月19日の現象に現れているように「他のメディアで充分に観たものは投稿されないし、評価もされない」という点にあるのではないかと考えています。
 この点は、「ニュースサイト」として考えた場合、致命的な限界要因になるのではないかと思います。つまり、あくまでも「newsing」は二番手以降。ユーザ個人にとっての一番は別のサイト(ないしニュースソース)という状態から脱することが難しいのではないかと危惧します。
 むろん、永遠の2番手というのも戦略的にはありです。少なくとも、マイネット・ジャパン本体にとって、newsing はあくまでも技術的な実験場ということであれば、むしろ2番手であり続けることこそ意義のあることだと思います。松下 vs. ソニーの技術競争のように常に2番手に位置し続けることこそ最終的な勝利の道であることは確かです。さらに言えば、マイネット・ジャパンにとっては、ニュースサイト(=メディア)であることが本分なのではなく、あくまでも情報を伝えるプラットフォーム作りがメインであるというのであれば、部外者としては、もはや何も言うことはありません。
 しかし、newsing をベータテストの場以上の存在にすることを考える場合、現状の内部的に閉じたランキングシステムに加えて外部要因を取り込む仕組みを考える必要があるのではないかと思います。

● 個人的に newsing に求めること
 乱暴であることを覚悟の上で言えば、newsing は、はてなブックマークにニュース性という制限を設けたもの以上でも以下でもないと思います。
 であるとするならば、私的なスクラップブックとしての機能を設けることを検討していただきたいという要望があります。つまり、自分がピックアップした、しないに関わらず関心を持ったニュースについてマイページに格納でき(格納という点ではコメントをつけるというアクションがあってもいいのかもしれませんが)、かつ検索をマイページ限定で行える機能を設けていただければと思います。
 人間は常に今と将来しか見ていないものではなく、過去を振り返ることによって、将来の動向を見定めたいというタイプの人間もいるはずです。
 要望その2は、上でも書きましたが、ランキングについて、「newsing 利用者」に閉じるのではなく、より広い範囲で注目を集めているニュースが上位に表示されるような仕組みを設けて欲しいということです。
 第1の要望によって、誰のためでもなく自分のために記事をピックアップするユーザが増えることになり、結果としてユーザカスタマイズされた Web サービス(巷間言われている Web3.0的な)サービスへの道筋になるのではないかと思います。
 また、第2の要望によって、メディアとしての、つまりは広告媒体としてのニーズも今以上に高まるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?

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コメント

はじめまして。
newsingから来ました。また、なだぎ氏の記事をセルフピックアップした者です。
仰るとおり、2月19日は、イージス艦の事故が起きた日。当然、私もその件についてブログで記事を作成し、newsingにアップしましたが、こちらは新着以外のカテゴリからあっと言う間に埋もれてしまいました。加えて、なだぎ氏の記事も同日のトップ記事カテゴリ以外はどこを探しても見当たりません。

では、なだぎ氏の記事がこれだけ伸びたのかと言うと、同記事が掲載されているページが検索エンジンで上位にヒットしていたからです。

つまり、newsingのカテゴリからのアクセスでは無いんですよね。

newsingでは、ご存知のとおり「総合」「ビジネス・政治」他、5つのカテゴリで構成されているのですが、こちらに掲載されるにはどうすればよいのか、模索していたところ、newsingの母体である「マイネット・ジャパン」の社員が数名参加しており、彼らのピックアップがカテゴリに優先的?と感じるほど掲載されていたり、仲間うちで「お気に入り」などをしあっていたりしている事に気が付きました。

もちろん、それがすべてではありませんが、newsingには、ピックアップに関して、明らかな「不公平」が生じているように感じます。

tomikuさんの記事に対して、コメントをされていた他の方のコメントを読んでいて、何だかんだ言って、みなさん、newsingが好きなんだなと思う反面、newsingの不公平な運営に些か憤りも感じましたので、コメントを残させて頂きました。

もし、記事の趣旨に反するようでありましたら、削除して下さいね。…長文、大変失礼致しました。

投稿: joke0712jw | 2008年3月 8日 (土) 01時21分

joke0712jw さん。コメントありがとうございます!

確かめたわけではないですが、newsing のポイントはもしかすると newsing を経由しない場合もカウントしているのかもしれませんね。貴重な情報ありがとうございます。

なお、newsing のカテゴリは、どうも記事を投稿する際やコメントを残す際にタグを記述することで掲載されるようです。その際、カテゴリーとして表示されている名称と一字一句違わずに登録する必要があるようで、ご指摘の通り、今ひとつわかりにくいですね。

投稿: tomikura | 2008年3月 8日 (土) 10時03分

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